2014年6月9日月曜日

ベビーコーンのおひげ



去年のある夏の日
奇跡のような日に
だーいすきなひとと中華料理を食べた。


緊張しすぎて、自我がふっとび、傍若無人。
食べたいものを聞かれるままに、これこれこれと注文した。


「ベビーコーンのほにゃらら」という一品。
出てきて、二人でお皿にしばし釘付けとなる。


「なんだろう?これ。」
「…、もしかして、…とうもろこしの…ひげ?」


一口食べて
「おいしい!」
「これは初めてだ。おいしい。」


しゃきしゃきとした歯ごたえ。
それからは、もう無言で食べ続けた。
とうもろこしのひげは、めしべ、らしい。
世間には、「とうもろこしのひげ茶」というものもあるから、きっと栄養もあるのでしょう。


さて、昨日、青山のファーマーズマーケットで、ベビーコーンに遭遇。
青い皮に包まれたままのベビーコーン。
皮をむいて茹でて食べたらいいのだと、
お店の人はきっと何回も聞かれたのであろう質問の答えを言葉少なく説明してくれた。


お湯を鍋に沸かしながら、皮をむく。
ひげがふっさふっさと現れた。
きっと、あの中華料理を食べていなかったら、皮もろとも生ごみとなっていた、このひげ。
美しく儚い緑色。


私は自信たっぷりに思った。
「これは、実を茹でた茹で汁をさっとかけて火を通し、オリーブオイルとあら塩で食べるべし。」


かくして、あの夏の日の思い出とともに、
ベビーコーンのひげは、しゃきしゃきと食べられた。
もちろんベビーコーンの実も。


ベビーコーンのひげは、まるでエンジェルヘアーという極細のパスタのようで、本当に美味しい。
捨てないで食べてね!


そして、いま思う。
もしかして、皮も食べられたりして!?