懐かしい友達とビールを飲んだ
あの頃は前世のように懐かしい
入った居酒屋でテーブルにやってきたおばちゃんの胸に
「ひとりぼっちのみーちゃん」と書いてある
そんなみーちゃんはショートカットのパーマ頭で底抜けに明るい雰囲気
「ひとりぼっちなんて」と言うと
「だってそうなんだもん」と言う
みーちゃんが伝票に伏し目がちに注文を書きつける瞼にひとりぽっちの影を探す
いまいち見つけられない
でもみーちゃんの全身からさばさばとした思いやりが伝わってくる
ひとりぼっちのいいところだけをまとったみーちゃん
お酒が進み話はいろいろな方向へ飛ぶ
隣に座った友達のお父さんの話
とにかくおしゃべりなお父さん、たまに黙ると今度はお母さんがずっとしゃべってる
変わってる
高校時代嫌っていた友達を殺すために仲間と爆弾を試作していてそれが爆発して指を何本かと片目をつぶした。
とにかく変わってる と一人娘のその子は言う
透明感のある可憐な細面のその顔からは爆弾の影は見えない
人ひとりの中にはいろんな歴史が詰まってる