2010年12月31日金曜日

笑う門には福来る

まもなく今年が終わります

大掃除を終えて夕方街に出たら
5~6人の男子のグループが何組も目につきました

これから年越しを一緒にするといった感じでリュックを背負って。

男子は私には永遠に謎。

いつもより早くひっそりとした通りを歩きながら

あぁ今年はいい年だったなと思ってしまった

自分でも不思議。

とにかく必死に暴れ馬にしがみついてがんばったような一年でした
だからかな

なんでもきっとがんばることはいいことで
後にはいい思い出しか残らないのでしょう

この調子で来年もがんばりますので

どうぞよろしくお願いいたします。


よいお年を。

2010年12月29日水曜日

白うさぎ

大好きなしゃんが帰ってきた!

と言っても一時帰国。

大好きなんて言えないほど実は尊敬している。

今はニューヨークに住んでばりばり働いているけれど
(と見せかけてよくティーブレイクをしているらしいけど)
来年はフィンランドに引っ越す。

フィンランドー!

私が今一番行きたい国フィンランド。
そこにしゃんが引っ越すとはなんという偶然!運命?

しゃんはいつも爆弾的な発言をして私をくるくる惑わす。

昨日も私のいつか仕事をしたい夢の雑誌について話していると


「あの雑誌の写真はいいけど、記事が、、、なんていうの?、、、白痴?」


毎回その雑誌を愛するあまり隅々まで熟読している私は度肝を抜かれた。

え?え?どの辺が?と聞いたけれど結局しゃんの崇高な思考には届くことができず未解決のまま私はいまだに首をかしげている。

さすが、しゃん。

そのほかにもいろいろと面白いことを言ってたけれどここに書いたら怒られそうなのでこの辺にしておこう。


とにかく今年最後に会えたことがなによりうれしかった。

お帰り、しゃん。

2010年12月27日月曜日

クリスマス・イヴ


クリスマス・イヴは上野家にお邪魔した
この家の次女のキヨリは古い友達でこの冬はローマにいて帰ってこない
だけどよかったらご一緒に、とご家族にお誘いいただいてとてもうれしかった

仕事帰りに吉祥寺の駅で四女のカンちゃんと待ち合わせる
長身の彼女は遠くからでもすぐに分かる
一段と美しくなっていてまぶしく輝いて見える
クリスマス・イヴの夜は一段と冷えてきた
タクシーを待つ間立ち話をする

「展覧会のお礼のはがきの詩がとてもよかったです。」とカンちゃんが言う
夏の展覧会に来ていただいた方にお送りした葉書に書いた詩のこと
そんな時真冬の町に立つ私に真夏の記憶が盛り上がっていっぱいになる
つらく悲しかった夏のことを思い出し、詩を誉めてもらったうれしさとない交ぜになって涙が出てきた
「なんか思い出してしまった。」と涙をふくと
驚くカンちゃんの目にも涙が。姉妹そろって涙もろい。

気を取り直してタクシーで暖かなお宅へ到着
ろうそくに灯を点してシャンパンをあけディナーの始まり
マミーの手作りのお料理の美しく美味しいこと!
優しいイエローのにんじんスープ、鳥の丸焼きはホナミさんが解体の担当
アサカさんは日本人形のような微笑みを浮かべてる
相変わらず賑やかな上野家の美女たちに囲まれ
心が満たされた

離れていてもみんながキヨリを思い一緒に食卓についているようだった

駅からの道のりを急ぎ足で歩きながら長かった今年を思った
でもやっぱり幸せな私だった



これがその夏の詩


「蝉が地面でお腹を見せる頃
夏は上空で秋とにらめっこ
追いかけてくるはじまりの予感に
振り返るのはぐっとこらえて
ひとり笑いの新宿御苑」


今年もありがとうございました。

2010年12月8日水曜日

hand in hand


これは今展示中のけやきギャラリーの模様
氷川神社の参道に面しているので目の前を人が行き交い
木々の間から青空が覗き小鳥がさえずっています
いい空気
とてもいい場所ですがマンションギャラリーなので
一定期間を過ぎたらなくなるのでしょう
氷川神社と氷川参道は私にとって特別な場所で
通った小学校も参道沿いにあるし
駅へ向かう道のりは必ず参道を通ります
父が17歳の時に祖父は亡くなりましたが
その時に父の姉(私のおば)は「お父さんがすごい速さでお氷川さんに飛んで行った」
というようなことを言ったと聞きました
それを聞いて以来氷川神社はおじいちゃんの居る場所でもあります
だからここで展示ができたことは本当にうれしい
ありがとう おじいちゃん

2010年11月27日土曜日

I think Ive found.


今週は一日たりとも忘れたくない日々の連続
卵が教えてくれたことは大きい

2010年11月21日日曜日

宿題の卵


宿題が出た
みんな思い思いの卵を撮ってくること。
私の卵
卵は子宮の大きさにたとえられる
命を宿すそのかたち
こんなに身近なものなのに今まで写真に写したことがありませんでした
私なりの卵の撮り方
卵が好きです

2010年11月18日木曜日

オリオンのベルト

オリオン座が出た

冬の星座だ

もう冬

ビバ冬

オリオン座を春でも夏でも空にいつも探す
春や夏には見えないオリオン座

オリオンの胴体を縁取る4つの星と
真中にオリオンのベルトの穴3つの星


今日は川越のCOEDOビールの工場見学に行った
工場は明らかな目的を持って存在しているだけに無駄なものが一切ない
美しい空間だった

そして樽から無ろ過のビールをいただいた
かりかりと弾ける生命を感じる活きのよさ
ビールとは思えないほど美味しかった

朝霧社長にインタビューをしてあまりのクリアマインドにこちらはぼーっとする
ビールのせいか

午後にもうひとつ撮影をして
夜はタバコジュースのライブ
キレキレのダンスにうねりのギター歌は耳ではなく心臓に突き刺さった

ライブの合間に
一番好きな食べ物がりんごだというサヤカちゃん
エリカちゃんはモモ
私?「納豆。」

確かに納豆は好きだけどなんで納豆と言ったのだろうと思ったら
今日の工場見学のために昨日は発酵食品を食べることが禁止だったのだ
いらない菌を工場に連れて行ってはいけないから
チーズやヨーグルトやキムチや味噌や納豆はだめ パンも発酵してる
そう考えたら食べるものが銀シャリだった
発酵食品が食べられないとどんなに味気ない生活かを知った
だからきっと納豆と言ったのだろう

ライブハウスではガチンコ異種格闘技が繰り広げられ
大音響に耐えられなくなったところで帰路に着く

余韻にぼんやりしながら空を見上げるとオリオン座

なんだかいいことがありそう

うがいをしに洗面台に行くと隣のお風呂から父が
「工場はいいだろ~?」とふやけた声を出した

うん、工場はいいね

2010年11月13日土曜日

カルダモンとシナモンロールそして名峰


「カルダモンの殻をむき、中の実を粗く刻む」
と書いてある
シナモンロールを作ろうとしていた
カルダモンて何?と母に聞くと
「シナモンのことじゃない?」いやいやいや
辞書で調べると「香辛料の女王と呼ばれ…」とある
これはきっとなくてはならないのだろうと早速買いに出た
見つけたカルダモンはグリーンの房の中に黒くて固い種がにぎにぎ入っている
強烈な香り これはチャイの香り
フィンランドの定番というシナモンロールが焼けるのを待ちながら
フィンランドの旅行記を読む これ至福の時
幸せが心に満ちる 満月
先週の今頃は翌日谷川岳に向かう準備をしていた
ノリさんとヒロシさんと行く山行きは3回目
人の役割りをツッコミとボケで分けるなら突っ込む人不在の3人組 のはずだった。
谷川岳は見晴らしのいい山で11月頭にも関わらずお天気に恵まれた
頂上に近づくに連れて息が上がる
平坦な道は途中から垂直になり、土から石、そして岩に変わる
巨人の一段かと思えるような階段を上っているとヒロシさんの口から音楽が流れ出した
「ルールールルールー」
ずっこけた私は息を切らしながらも「なんでそんなにメローなの」とさすがに突っ込んだ
先を行くノリさんも「マーチとか行進曲とかの方がいいんじゃない?」
ヒロシさんいわくそれはNHKの「日本の名峰」のテーマ曲だという
その曲が自然と口をついて出てしまった
NHKの「日本の名峰」私は見たことがないしノリさんの家にはテレビがない
でもきっといい番組なんだろうねと納得
それでその番組はいつやってるの?と聞くと
「うんとね、夜すごい遅くか、朝すごい早く」
ノリさんと私は再び「いくらなんでもそのどちらかというのはどちらかわかるでしょう」と突っ込まざるをえなかった
しかし。
シナモンロールも無事焼けて、コーヒーと美味しくいただいた後にふと新聞のテレビ欄を見るとありました「日本の名峰」4:15。
ヒロシさんあなたは正しかった。
4:15。それはまさしく夜すごい遅くて朝すごい早くでありました。
この時間の「日本の名峰」のテーマ曲が歌えるなんてつくづくすごい。

2010年11月12日金曜日

トイレット

ハルコさんと楽しい打ち合わせをした

久しぶりのハルコさんは黒のタートルネックで相変わらず色っぽい

レストランのテラスでご飯を食べた後ハルコさんと光がきれいで「一枚写真を撮らせてください」と言うと

「ちょっと待って。口紅を塗るから。」とバッグを引き寄せた。色っぽい。


写真を見ながらの打ち合わせなので色がよく見えそうな温室のようなカフェに移動

ルーマニアの駅のトイレの入口小窓で女性がトイレットペーパーを売っている
女性は右手の指先で窓を押さえていてその指先はブラックベリー色のマニキュア
左手はほどんど見えないけれど読みかけの黄ばんだ本がちらりと見える
青色の制服のブロンドの女性
こんなところで写真に撮られちゃちょっと困るなという顔と微笑みの間

全体に水色の写真でとても気に入っている

FeverのPoPoのゆめさんが気に入ってくれてPoPoのトイレの脇に飾ることになりました

販売用なのだけど
自分で欲しいくらいなので売らないつもりの気持ちで額をハルコさんに頼むことにした

トイレらしいかわいい額のデザインをあれこれ考えるのはとても楽しい

トイレは便器や便座やふた あらゆる場所が丸くてかわいい

ノートにトイレの絵をいろいろ描いた


私が描いた和便器の絵をハルコさんは「それちょうだい」と言って携帯電話のカメラで撮って

「ひでみ便器」と登録した


出来上がりが待ち遠しい

2010年11月10日水曜日

願い事ひとつ

これだけは叶えたい願い事
ひとつだけ叶えてあげるとしたら何?
私が叶えてあげる

とママに聞いてみた

「みんなが元気ならいいよ。」とこれは想定内の答え

「じゃ、みんなが健康だとして、それ以外では?」

「んーーーーーーー。現状維持かな?」

毎日通っているプールではフォームは上達しているはずのなのにタイムが落ちているらしく 納得いかないらしい
そのほかにも衰えるばかりのいろいろなことをつらつらと話した後
唐突に

「あ!スペイン語ペラペラになりたい!」

ママが毎朝閉じたふすまの向こうでラジオのスペイン語講座を聞いているのは知っている

でもそれが願い事なのー?

いつか再び心の故郷メキシコに連れてってあげられるようにがんばるね

2010年11月6日土曜日

マダムサチコ


ヒューム

海に出た

秋の海はサイコー

人がいない

光が美しい



ため息とともに夏の疲れが風に流れていく

そして吸い込むのは新しい空気



小学校に上がる少し前の春に会ったヒュームくんは
5年生になっていて私のことはきっと覚えていない
でももしかしたら幼児の記憶は大人よりはるかにずば抜けていて
あの時私の辺りをさまよった視線は記憶のかけらを見つけたのかも知れない

声がかさかさしてあまり笑ったりもしなくて男っぽい

健やか



ミイさんの子育てを見ていて思った

大好きな人にはちゃんと目を見て謝らなければいけなかったんだ

それが1歳のセイリンくんでも

ミイさんはきちんと向き合って目を見て「ごめんね。許してくれる?」って言ってた。



ヒュームくんは行き帰りの切符とおこづかいを持っておばあちゃんの家へ向かった

そうやってお兄ちゃんは週末の間 羽を伸ばす

日を生むと書いてひうむくん

日と生むをくっつけると星

そしてセイリンくんなのだ

大きな海と山に囲まれて 健やかに大きくな~れ

2010年11月2日火曜日

ママの誕生日

ママの64歳の誕生日

おめでとう!

築地でレンコンとにんじんとさやいんげんといくらと卵焼きを買ってきて
ちらし寿司を作った

食べなれた母の味とは違うものができた

でも美味しかったし今日は2時間でできた

かぼちゃの煮つけとこんにゃくの煮物とお吸い物も作った

いつもより静かな食卓でテレビのニュースが目立った
中国の話題

私「コキントウとオンカホウはどっちが上なの?」

父「そりゃコキントウの方が全然上だよ。」

なんて会話をした

疑問に思ったことを声に出して言うとちょっとおもしろい

これからはもっと声に出して言ってみよう

2010年11月1日月曜日

赤い長靴

大雨が途切れた昨日赤い長靴を洗った


日曜日は夕飯を作る日、とやんわり決めているので
餃子を作ることにした

強力粉とお湯で皮を作る

キャベツにら長ネギにんにく生姜干しエビ

お肉の量より野菜が多い

3時間くらいかかって夕飯ができた

といってもご飯やスープや副菜は横からひょっこりちゃちゃっと母が作った

フライパンで餃子を焼いていると、火に接近しすぎた炊飯器から科学的な火が出た
炊飯器の横腹が溶けた

あぁこれだから私はお嫁さんになれないんだわと落ち込む

餃子は圧倒的な存在感で食卓に出た

食べ応えのある皮
美味しかった

3時間も集中していたので疲れてベッドに横になった

ふとさざ波のような雨の音で目を覚ます
ザザーンザザーンと降っている
大雨の音は一番よく眠れる

洗った赤い長靴に水がどんどん溜まる様子を思い描いて
それは何日かけたら乾くだろうかと考えてから
やっぱりそれはいけないと明け方むっくと起きて玄関に向かう

赤い長靴はきれいに乾いてちゃんと左右並んで玄関にいた

2010年10月30日土曜日

もたいまさこ

もたいまさこになりたい

最近強くそう思っている

メガネの奥のあの瞳、ほほえみ、ストイックな体つきと体の動き
低音の声
本当に大好き

きっかけは取材で会った小林聡美さん
映画「マザーウォーター」の宣伝で。
とてもチャーミングで高層ホテルの大きな窓を背にして私がカメラを構えると
「気をつけて!」と「窓があるって分かってても心配になっちゃうね」と笑った。

小林さんに会う前に映画「めがね」を借りて見た。
大きく深呼吸するような映画。美味しそうな料理。そしてもたいまさこ。
取材の後、もう一度見た。2回目もよかった。

ほぼ同じ出演メンバーの荻上(監督、荻上直子(おぎがみなおこ))組の映画をまた借りた。
映画「かもめ食堂」。場所はフィンランド。
1回見てもっと見たくて2回目を見るときに母を誘ってみたら「それ見たよ。」と言う。
「いつ見たんだっけ?あれ?んー?…」と思い出せそうにない母となんとなく待つ私。
すると
「俺が見に連れてったんだよ」と父。
「同じシリーズの「めがね」も見に行ったよな。」

すっかり先を越されていた。

フィンランドで暮らすのもいいなと思っている。

2010年10月16日土曜日

カマキリ君

庭仕事を終えた父が満足そうに

「カマキリ君がまだいたよ。」と言った。

今年はもういなくなったかなぁと思っていたら出会えたのだそうだ。

うちに代々生きているカマキリ君だと言う。

「カマキリ君もいるし、バッタだっているしとかげもいるよ。」と言う。

疑問に思った私は「なんでカマキリだけ君がついてるの?」と聞いた。

すると父は沈黙の後「バッタ君。」と言った。

2010年10月14日木曜日

ひとりぼっちのみーちゃん

懐かしい友達とビールを飲んだ

あの頃は前世のように懐かしい

入った居酒屋でテーブルにやってきたおばちゃんの胸に
「ひとりぼっちのみーちゃん」と書いてある

そんなみーちゃんはショートカットのパーマ頭で底抜けに明るい雰囲気

「ひとりぼっちなんて」と言うと

「だってそうなんだもん」と言う

みーちゃんが伝票に伏し目がちに注文を書きつける瞼にひとりぽっちの影を探す

いまいち見つけられない

でもみーちゃんの全身からさばさばとした思いやりが伝わってくる

ひとりぼっちのいいところだけをまとったみーちゃん

お酒が進み話はいろいろな方向へ飛ぶ

隣に座った友達のお父さんの話

とにかくおしゃべりなお父さん、たまに黙ると今度はお母さんがずっとしゃべってる

変わってる

高校時代嫌っていた友達を殺すために仲間と爆弾を試作していてそれが爆発して指を何本かと片目をつぶした。

とにかく変わってる と一人娘のその子は言う

透明感のある可憐な細面のその顔からは爆弾の影は見えない

人ひとりの中にはいろんな歴史が詰まってる

2010年9月27日月曜日

マキちゃんの恋

2年ぶりに会ったマキちゃんは相変わらずパーっと明るかった。
笑顔がとてもあったかい。
元気だった?と聞くと

私ね、初めて恋をしたの

と言った。
えー、すごいねー!と言う私に

初めてだったの、あんな気持ち。
今まで友達が人を好きになって食事も喉を通らないって話を聞いて
ふ~んそうなんだって思ってたけど ほんとだった。

それで勉強の方はどうしてる?受験はしたの?
マキちゃんは知りあってから思い出す年月の長い間毎年国立大学に受かるため勉強していた。
それはそれは熱心に粘り強く、次々に苦手科目を攻略していった。
そして今度こそはきっと受かるだろうと2年前私は思った。

そしたらマキちゃんはさらっと言った。

受けなかったの。

え、なんで!?

その日デートする約束してたから。

絶句。
あんなにがんばってたのに!どうして!デートは他の日にすればよかったのに!

と熱くなる私にマキちゃんは

だって私の人生で恋が一番大事なことだったんだもん。
他のことはどうでもよかったの。

あーーー。うーーー。私は言葉にならないうなりを続けた。

そしてマキちゃんは言った。

初めての恋で、一生懸命になりすぎちゃって重くなるのは自分でもわかったんだけど止められなくて
それで失恋したの。

私は鼻から大量の湿った息を吐き出した。

初めて失恋してね、もう死ぬかと思った。
息がとまるんじゃないかって。
でもその日もちゃんと仕事したんだよ。自分でもえらいと思ったけど。
そしたら生徒達が心配して「先生かわいいよ。」って手紙に書いてくれたんだ。

うわーん、と私は泣きたかったけど泣きたいのはマキちゃんだ。

いい生徒達だね、よかったね、マキちゃん。

マキちゃんのことを思い出すといつも暖かくなる。
会うたびに素敵な贈り物をくれる。
私が英語をマキちゃんに教えていた時は毎回大きな花束を抱えてレッスンにやってきた。
そしてレッスンが終わると当時美容師さんだったマキちゃんは丁寧に私の髪をトリートメントしてくれた。
写真展には必ず顔を出してくれて私の見たことのないようなお菓子をくれる。
そして元気が出るような言葉を残してまたしばらく会わない時間が訪れる。
マキちゃんが運んでくれるのは私を思ってくれる気持ち。それを強く感じる。
だからうれしい。

失恋したことある?

とマキちゃんが訝しげに私に聞くので

もう何回も何回もあるよ。

そう答えて先輩っぽい気持ちになった私は

でもね、マキちゃん、失恋で人は死なないよ。大丈夫だよ。
また恋をして、いい思い出になるよ。

と言った。


あの日からマキちゃんのことをよく考えている。

私はまた失恋をして、その痛みは日を追うごとに大きくなり
マキちゃんに言った言葉が正しかったのかどうか

マキちゃんは心の人だから、心全部で恋をしたんだね。

そんなマキちゃんは大した人だ、と尊敬しています。

2010年9月13日月曜日

プロ集団

夕方個展の準備に向かった。
ギャラリー裏のスペースでマットに一枚一枚写真を貼っていると
ひとりまたひとりと無口で無表情な人たちが集結してくる。
マイペースに貼り続ける。
時間になった。
集結した(実は)プロ集団は黙々と私の個展の準備にかかる。
名も知らぬプロ達の手際に私は圧倒される。
マットに入れた写真を額に入れる。
大体の配置場所を決めたら水平を測って壁に釘を打つ。
(この時の高さ、日本の標準は150センチ。私はなぜか5センチ高いアメリカ標準サイズがしっくりきた。)
写真をかける。

終わったと思ったら椅子がたくさん出てきた。
何事かと思っているとガスコンロ、大きな鍋(給食用大)にミートソース、そしてパスタが山盛り、具だくさんサラダ。
ビールの大瓶が10本くらいどどーんと現れた。
「かんぱ~い。おめでとうございます。」と言って食事が始まる。
私の個展の写真が見守る中、プロ集団は和気あいあいとパスタを食べる。
美味しい。お店の味。
上の階でずっと料理をしていたらしい男性が汗をふきふき下りてきた。
「おかわりいる?」
手には新鮮なもずく山盛り。

何年も通っているこの場所でこんなことが繰り広げられていたとは。
プロ集団と同じ釜の飯を食べ、すっかり家族の気分になってしまった。

明日からの個展はちょっぴりミートソースの香りがするかもしれない。

よっちゃんの涙

よっちゃんに会った。
5か月ぶりに会ったら妊娠5か月のおなかになっていた。驚いた。
よっちゃんが泣くので私はおろおろした。
付き合ってもいない人だった。
だけど結婚をして西へ行く。
すごくいい人なんだ。
だから私はきっとその人だったんだよと言った。
誰もが迷いながら今を生きている。
私たちに進む道は明日しかない。
よっちゃんには絶対にロックで力強いお母さんになってもらいたい。
きっと強い子が生まれるよ。
またいつ会えるかわからないけれど力強く応援しています。

2010年7月21日水曜日

水族館とパパイヤジュース


今年も銀座の町角に水槽が現れた。
一年の早さよ。
水槽は夏の間この炎天下に置かれ魚たちはどうなんだろう?と毎年思う。
考え続けたら答えが出ると思う。

今日答えが出たこと。
近所の中学校が夜、ブルーにライトアップされることがとても不思議だった。
お化け屋敷みたいで通り過ぎるときはじっと見ないことにしている。
それはきっと防犯の理由なのだ。
わ~気味が悪いな~と思えば泥棒もホームレスもアツアツカップルも寄り付かない。
すごい納得。でも不気味さは変わらない。

暑さで消耗してパパイヤジュースを飲みたくなったので飲む。
夏はちょっと苦いものが美味しい。


2010年7月15日木曜日

南アのヌガー


プシュ。なぜ駅前で買ったビールが北海道限定のサッポロクラシックなのか。
知らない。

この包み紙はワールドカップで南アフリカ共和国に行っていた人のおみやげ。
ヌガーです。チューイングキャンディーの自然版みたいなお菓子。
外国のおみやげはありがたくも大抵その国のにおいがきつかったりして美味しくないのですが
これは最高に美味。
マシュマロとはちみつを練ったような純粋な甘さ。そして適度な粗さの薫り高いアーモンド入り。
甘すぎると顔をしかめる人もいるかも知れませんが、
今日の私はこれによって、疲れてうなだれていた首がむくむくとマシュマロマンのようによみがえり、
無事に家に帰りつくことができました。

南アフリカ共和国に行ったなら、必ずやこれを買うことでしょう。

2010年7月10日土曜日

とうもろこし


夏。親戚から夏野菜の箱が届きました。
とうもろこしを早速3時にいただきます。
皮の透き通るようなグリーン、実のイエロー、美しい色合いにみとれます。
私の食べ方を見て父が「お、君は前歯か。」と言います。
見ると父は下の歯で食べ進めます。
母は一列ずつ手できれいに外しながら食べます。
姉は先端からぐるぐる回しながら茎の方へ到達します。
この様子を広角で写したら面白いだろうなと思いながらとうもろこしを途中でやめることができません。
それほど甘くてとっても美味しいとうもろこしでした。
ごちそうさまでした。

2010年7月5日月曜日

空模様


おしゃまさんの歩く銀座。まるで真夏のような暑さ。
お日様ぎんぎん照りつける。
洗濯物もからっと乾くのでママはご機嫌でカーテンを洗いあげた。
一日の仕事を終えて夕方家路につく頃にうっすらと雨雲がやってくる。
そして土砂降りになる寸前に家にたどり着くというここ最近のパターン。
幸せのパターン。
雨が大地を冷やし涼しい風がカーテンを揺らす。


2010年6月28日月曜日


親戚の見送りに成田空港へ行った。
デッキから飛行機が見える。
金網ごしに飛行機を見ていたら、金網の数か所にカメラ窓が空いていることに気付く。
目の高さにきちんと。カメラが金網を気にせず撮影できるように(と思う)。
ふっとその窓からレンズを差し込むと禁じられた外界にじかに触れたようでどきっとした。
そこは遮るもののない自由な世界。
あなたの窓から好きなだけ飛行機を撮ってください。

2010年6月27日日曜日

アマリリス


学生時代に同じ誕生日の先輩と誕生日に花をプレゼントし合いました。
その時にもらったのがこのアマリリス。毎年とても優雅な花を咲かせます。
球根なので毎年毎年花を咲かせるのです。
なぜアマリリスかというと誕生花がどうやらアマリリスらしいのです。
でも誕生日には咲かず、いつもこの夏一歩手前の時期に咲きます。
強く美しい花です。

その時私が先輩に何の花をあげたかというとシクラメンをあげたのです。
シクラメンは育てるのが難しいのできっと一年目にはもうだめになってしまったのではと思っています。

アマリリスは元気ですよ。
そのことを今度先輩に伝えよう。

2010年6月24日木曜日

外の世界はこんなにもきれい


今日も平穏に夕暮れが訪れました。
庭は紫陽花(の花と葉)で埋め尽くされています。ザ・花の饗宴。

掃除をしたら時を経て茶色くなった古いメモを見つけました。
もう忘れたいつかの昔にこんなできごとがあったようです。

昼の空いた電車の中で携帯電話が鳴りました。
ンププププ、ンピピピピ、ンポポ…
「はい、もしもし」
男の子と女の子を連れたお父さん。一言二言話してから電話を切りました。
「誰から?」
「ママからだよ」
「え、ママ 電車の電話番号知ってるの?」


んふふふふふ

2010年6月15日火曜日

ハンバーガー


遅いお昼に時々ここのハンバーガーが食べたくなる。肉の味が口いっぱいにひろがる。
チーズは今回はレッドチェダー、他にゴーダやゴルゴンゾーラなど5種類の中から選べる。
今日は端っこのテーブルに座って、店全体を眺める。お客さんは全員女性。
読んでいた雑誌には世界中を飛び回る忙しいアーティスト(男性)が「香港ではペニンシュラに泊まる。自分の名前入りの枕カバーとタオルが用意されていて他に泊まりづらくなった。」と話している。食事について聞かれると「毎日ペニンシュラのアフタヌーンティーでスコーンにローズジャムをつけて食べたい。」
へぇ~、と思いながらまた一口ハンバーガーを頬張る午後。
レタスもシャキッと分厚く美味しい。


2010年6月12日土曜日

てのひら


秩父鉄道で樋口駅に降り、川向うに見えるのが長瀞(ながとろ)キャンプ場。
そこで開催されている「てのひらまつり」にお邪魔しました。
敷地内に入ると川で裸の子供が遊び、裸の子供が目の前を走り抜けていきます。
ここはテント村。太鼓の音やギターの演奏がどこからか聞こえてきて、自然食を売るお店では若いお母さんが赤ちゃんをあやしながら店番をしています。そう、このお祭りは子供が主体なのです。
荒川へ出てみるとぎらぎら光る川面から元気な頭がちょこちょこ出ています。
そんな中ただ静かに背中に手を当てる人。じっと動かない。そこだけが動かない。
てのひらってあったかいよね。てのひらって魔法の力があるよね。と納得し、これぞ「てのひらまつり」ということで今日の一枚にさせていただきます。

2010年6月10日木曜日

見えてるもの見えてないもの


電車ほど人の様子をじっくり観察できる空間はないと思う。
そんなわけで今日もパシャっと撮ってしまった。とてもファッション感覚が確立している女性。
でも写真って面白いのは後で見ると見えてなかったものが写っているということ。
たとえばすぐ隣の女の子の鞄にぶらさがってるのは私の大好きなカメラをモチーフにしたものなのにまるで見えてなかったり。
たとえば目の前のバッグにスイーツのアップリケを見てすかさずシャッターを切ると、その下で手がくまちゃんをさすっているのを私の眼は完全にスルーしている。
だから写真っておもしろいんだな。


今日は晴れのちくもりにわか雨でした。

2010年6月3日木曜日

ガレージと確信


夕暮れの気ままな散歩に出た。
家々のガレージにはこの時間まだ主の戻りを待つカラのガレージが多い。
そんな夕暮れの空きガレージにはさまざまなドラマがある。
猫とカラスのだんまり合戦。
調子に乗っていると番犬に吠えられる。


放課後の女子中学生がテニスの練習。その初々しさから新入部員と見る。

タイトルの「確信」は何かというと、家の前を通る小学生の話し声を聞いていた時のこと。
女子が自分のことを「わたし」ではなく「うち」と言っている。バラエティー番組の投稿ビデオなどでも最近の女子達は自分のことをよく「うち」と言う。
単に流行りかかわいい方言かと思っていたが、今日ふとそうではないと確信した。
これは新しい日本語になりつつある。
たとえば今初老のご婦人方が「わたくし」と話されるのを聞くと古風で上品でいい感じと思う。それと同じで今から20年後くらいに「わたし」と話すとあら丁寧ねと思われるんじゃないかな。未来では「うち」が普段使いなのです。
ためしに「わたし」と「うち」を言い比べてみた。スピーディーで「わたし」と言うより「うち」の方が言いやすい。
こうして言葉も変わっていくのね。

かもね。

Rock 'n' Roll


電車のシートに座り本を読んでいたら、目の前にロックンロールを着た乙女が立っていた。
あまりに素敵なTシャツなので本を置いて見つめていた。
ロックンロール。
ロックといえば、かっこいい何かのたとえ。
ギターを抱いて恍惚の表情で背中を反らせて奏でている様など
ステージの上でそんなに露わでいいの?と思う。
と思えば馴れ馴れしく人を寄せ付けない怖さもあって
うまくRockとRollが組み合わさってるんだな。
こう書き出してみると、それって猫に似てる。
さてこの乙女、見上げている私の視線に気づき耳のイヤホーンを外す。
写真を撮ってもいいですか、と聞くとにっこり笑って。
これまでの経験で言うと、ロックな人は優しい人ばかりです。

2010年5月28日金曜日

双子の夢


本屋で色白な美しいママが連れていたのはなんと双子ちゃん。
時折「ケホッ」と音をたてて身じろぎしながらすやすやお休みのようです。
幼いころの絶対にかなわない夢のひとつに、双子の片方になる、というのがありました。
同じ顔をした二人が言葉にしなくても離れていても気持ちが通じ合う。

言葉にしなくても離れていても気持ちが通じ合う、たぶんそれをずっと追い求めているのかな。

2010年5月25日火曜日

銀座セーラー


銀座の町を歩いていると一画がぼこっとなくなっていたり、駐車場に早変わりしていたりする。
そうするとなくなった部分に面していた隣のビルの壁面がむき出しになり、排気口(と思われるもの)の四角くて大きい銀色の筒がテトリス状に連なって壁をはいあがっていく様子など普段は見られない面が見えてぞくぞくする。
今日それを見ていたら「積み木みたいだ」と思い、先日ニュースで読んだ「積木劇場」という舞台の話を思い出した。約50人の幼児が積み木3万個を好きに積んでいくと、積み木の形状や役割り分担の紆余曲折を経て1時間後には小さな街ができたという。いい話だったなぁ、と思いだしている私の後ろをがやがやとすごいエネルギーが通り過ぎた。それはセーラー服の女子高生。一瞬にして銀座の積み木はセーラー服にかき消された。

2010年5月24日月曜日

うちのベリー


5月の雨と書いて五月雨(さみだれ)。梅雨の雅語的表現だという。
昨日から降り続く雨はきれいな霧雨になった。
緑は雨を受けて青々として瑞々しい。うちのゆすらうめは赤くなり始めました。
毎年鳥と競争して実を摘む母は今年はのんきに構えているので「ゆすらうめが赤くなっていますよ。」と教えてあげました。
生活のしわににふっと霧吹きがかけられてすーっとしわが伸びていくような一日でした。

2010年2月3日水曜日

恵方巻き


本日は節分。今年の恵方は西南西です。
うちの恵方巻きの中身は毎年変化するのですが、今年は、きゅうり、甘い卵焼き、桜でんぶ、しいたけの甘煮、油揚げの甘煮、貝柱を酢で洗ったもの、湯に通したほうれん草、です。
一本まるごとを食べ終わるまでしゃべらない、西南西を向いて。
こうして見ると生命力あふれる食べ物です。
黙々と食べている間、テレビのニュースではトヨタのハイブリッド車のブレーキが、低速度ではかからなくなる(こともある)トラブルについてしゃべっていた。

2010年1月14日木曜日

ねこ道


夕焼けが今日もきれいだろうな、と思って、夕方散歩に出た。
この頃は空気がぴんと澄んでいて、夕暮れ時は本当に美しい空。

帰り道にばったり猫に出会った。こうして普通に日本では野良猫にばったり出会うけれど、いつか訪れたフロリダの町では、野良猫が皆無だった。町の方針で、野良を許していないのがその理由だったが、糞ひとつ転がっていないそのきれいな芝生の町並みが、野良猫がいないと気付いた瞬間から、人間の傲慢や残酷性を感じて、居心地が悪いを通り越して、不気味になった。

そんなことを思い出しながら、野良猫を見送ると、もう夜が追ってきていた。

2010年1月13日水曜日

sorairo-car


銀座の日産ショールームの前を通りかかると、ぴかぴかに磨かれたショーウインドウの向こうに空色の車があった。いつかこんな車に乗って、いろんな風景を駈け抜けてみたい、と思ってみたりした。
米経済誌フォーブスによる日本の富豪ナンバーワンは昨年同様、ユニクロ会長兼社長の柳井正氏と発表があった。柳井さんに会ったら、聞いてみよう。今欲しいものはなんですか?って。
写真を撮る間に日産レディーのお姉さんが横切るのをためらって、じっと待っていてくれた。

2010年1月12日火曜日

海の幸 山の幸


今年一番寒い日でした。ここでは雪ではなく雨でしたが、間違いなく近くで雪が降っている気配がしました。
こんな日に炬燵で囲む夕飯はこの上なく最高です。
今夜はどんぶりのご飯にとろろ、その上に醤油漬けのいくらと辛子明太子、昆布がのった三色どんぶり。
ちなみに今朝のテレビによると、明太子はたらこを唐辛子を含む調味料で漬け込んだ、韓国の影響濃厚な食材で、明太子という言葉も、韓国語でスケトウダラを明太(ミョンテ)といい、その子ということで、明太子。
韓国も今夜は雪でしょうか。

明るい未来


1月11日成人の日。成人式に出かけました。
ハタチの笑顔に明るい未来を思いました。
笑顔をくれたみなさん、どうもありがとう!幸多かれ。