2011年3月16日水曜日

ほくほくさつまいも



地震の次の日に帰宅した時の家の様子は
空き巣に入られた時の記憶を思い出せた
今回は見えざる大きな手が引き起こしたことだというのが違う点

大体は棚の上の軽いものが落ちていた
滑りのよい引き出しは少し前へ出ていた
壁にかけた額は傾いていた
何かが少しずつ違うような家の様子

次の日の仕事に備えて準備をしていたが
キャンセルの連絡が入る
交通が大混乱
原発の事故のニュース
事態は関東でもやさしくなさそうだと感じた

次の日も「無理して来なくていい」と仕事がキャンセル
地震のニュースをずっとつけて情報を絶やさずにいた
そのせいか落ち着かず不安感にかられ
たくさん食べたり
地震で落ちたものなどを片づけられずに2日が過ぎた
ぼんやり横になったりした
これからどうなるんだろう 日本? 私。

その次の日も外へ出る仕事はなかったが
家の中で画像を処理し郵送した
世間との関わりを再開したせいか少し気分が上がり
料理をすることにした
常備菜を作っておこう
ひじきの煮物、きつね色に揚げたさつまいもで大学芋、それから小豆を煮てあんこを作った
どれも好きなものばかり

こんな時はきっとみんな自分の一番好きなことをしてる
大好きなあの人は歌を作っているだろうし
お腹に新しい命を宿したあの人はお腹を優しくなでているだろう
私は料理を作る 写真を撮りたいとは思わなかった

ニュースを見るのはほどほどにして
じっと心に耳を傾ける
自分の生きる力を信じること
みんなの生きる力を信じること
心が折れそうなときはしばしぼんやりした後に大好きなことをするといいね