地下鉄の駅から地上に出る途中の
くの字に曲がった角のところで
安西水丸さんに会った
昨日会ったのに今日も会ったー!
びっくりして「ほえ!」と反応して
水丸さんはびくっとした
昨日と同じ洋服を着ていた
これを運命というんじゃないでしょうか?
こんなことがあるこの街を私は愛し初めています
髪を切った
「短くしたかったんですか?」と聞かれたので
「失恋したんですよぅ」と言うと
「え~ほんとですか?」と言われた
初めて会ったときから懐かしい感じのする美容師さんは
「未練があるというのは、本当に好きだったということです。だから未練があるのはいいんです。」と言い
私を涙ぐませた。
うれしかった。ほんとに好きだった。
目の前に2年も工事中の家が(あの!)「北野家」であるということを聞きつつ
髪はざくざく短くなって
男の子みたいになった
部屋に帰って
ビールを開けて
ゴーヤとなすのおひたし
大根のぬか漬け
松の実
チーズ
食べながら本を読みながら
後ろの部屋では昭和歌謡の「有楽町で逢いましょう」とか「誰よりも君を愛す」がラジオから流れていて
扇風機の風が優しくなでる
私は今どこにいてこれからどこにいくのかわからなくなり
無重力感で幸せいっぱいになる