夏に開いた写真展に
偶然、風のように訪れた香りの魔術師がいました
黒い長いマントが似合いそうな、物語のような存在感
写真展の中の一枚を見て
「これで香りを作りたい」と
夢のような申し出をくれました
そして待ちに待った香りが昨日届きました
本当のことを言うと、昨日の夜は香りにぴんと来なかった
だけど今朝、この香りにぐっと来た
はっきりとはっとした
確かにこの写真の香りだった
そして、今まで嗅いだことがないのに、とても好きな香りだった
「ファンタジー」というのだと魔術師は教えてくれた
特にこれと言った、たとえばシトラスとかフローラルとか、といった系統がない香りのこと
私のファンタジー
写真から香りが生まれる
それはファンタジー